起:事件の影にやっぱりヤハリ


ところでこの前、矢張の家に行ったらさー。ティッシュの塊が床に落ちててさー。
僕、思わず突っ込み入れちゃったよ。「オナるのはいいけどせめてゴミ箱には捨てろよ!」てさ。

・・・・あ・・あぁ。

ごめん。ちょっと下品だった?でもさー、萎えるのはわかるけどさ、
後始末くらいしとかないと急に彼女が来た時、ひかれるだろ。って話だよね?

・・・う・・ム。そうだな。

・・・・・ちょっとまって、御剣。僕の言ってる意味、分かってるよね?

も・・・もちろんだ。“オナる”をしたらゴミ箱にティッシュを捨てるのだろう?
そうしないと彼女がひくのだろう?・・・大丈夫だ。理解している。

・・・・・・。

な・・なんだ。この沈黙は。

もしかして御剣、オナったことないの?

・・・・・・う。

まじかよ・・御剣、おまえ、いくつだよ!?

う・・うるさい!!さっきからなんなのだ!?その“オナる”とは!!
名詞か?動詞か?それとも形容詞か?・・・いや“る”が付くということは形容詞ではないのか・・?それとも・・・ブツブツ・・

もしもーし!!御剣聞こえてる!?“オナる”は“オナニーする”の略語だよ。
オ ナ ニー。それくらい分かるだろ?

あぁ・・。自慰行為の事か。それなら分かるぞ。

・・・・・・・・・ふぅん。知ってるんだ御剣。じゃあさ・・僕に教えてほしいな。
その御剣の言ってる自慰行為ってやつ。
もしかしたら僕の思っている行為と御剣の思っている行為、違うかもしれないだろ?
教えてよ・・・・・おねがい、御剣。

――何気ない友人との会話がまさかあんな事態に陥るとは・・・今の御剣には考える余地もなかった。


承:検察側の冒頭弁論


ま・・まず、はいているものを脱ぐのだ。

御剣。具体的に言ってくれないと電話越しだから僕分からないよ。

ム・・ズボンとパ・・・・下着を脱ぐのだ。

なるほど・・・・・・・・・はい。次は?

な・・成歩堂?まさか本当に脱いでいるのか?

当たり前だろ?
人にものを教えてもらうのに自分も身をていして行わないと教えてくれる人に失礼だろ?
・・・・・まさか御剣は口先だけで説明をするような軽はずみな男じゃないよね?

む・・無論だ。(ゴソゴソ)・・・・・・・・さあ、脱いだか?

うん、もう脱いでるよ僕は。・・・で、次は?

め・・目の前に・・その、なんだ・・・だ、男性器が見えるだろう?
それを、その・・・・利き手でにぎってだな・・・ぁ・・

・・・・もしもし。僕には見えないんだけど。男性器。
なんで御剣は立っているのに見えるの?自分の性器なんて。
座っているの?それとも・・・・・・もう御剣の男性器が起ってるの?

・・・・・・。根元から先に向けてこう・・・動かし・・て・・先のほうから液体が・・・
少し出てく・・るはず・・・だ・・・あ・・あぁ・・いい・・
もっとこう・・芯をとらえるように・・・にぎれば・・・は・・は・・は・・・

もしもーし!!御剣!!僕を置いていかないでよ!!
もしもし、御剣!?もしもし!!もしもーし!!!

――夢中に自分の性器をいじる御剣の耳に、成歩堂の声はもう届かなかった。


転:弁護側の反対尋問


置いてけぼりはひどいよ・・・・・でもおかしいなぁ。御剣さぁ、そんなので気持ちよくなってたの?
なんだか僕のオナニーとやり方が違うんだけど。

はぁはぁはぁはぁ・・・・な・・なんだと?わたしのやり方が間違っているだと?ばかな・・・

じゃあさ、今から僕がいつもやってるオナニーを教えるから御剣もやってみてよ!!

・・・・了解した。

えーと。そうだなぁ。御剣、ローション持ってる?・・・・わけないか。

ローション?私は男だ。化粧はしないのだが。

うん。そうだね。ごめんごめん。じゃあ・・台所にサラダ油ない?

・・・・・・オリーブオイルならあるが。

よし!それを尻の穴にぬって!!!

は?

おしりの穴に!オリーブオイル!ぬって!!御剣!!!

・・・・ひっ・・つめたい・・

で、人差し指・・・・入れてみてよ。

あ・・あぁ。なんだかきついのだが・・このようなことをして大丈夫なのか?

御剣、僕を信じて。人差し指が入るようになったら、次は中指をゆっくり入れてみて。

う・・・は・・入ったぞ・・・

え?全部入ったの?中指。御剣はすごいなぁ。呑み込みが早くて尊敬するよ。いろんな意味で。
それで、座っているとは思うんだけど中指を前に曲げてみて・・・何かあたらない?

手首がつらいな・・・中指を曲げるのだな・・・なあっ!!!あ・・なんだこれは・・・ここ・・は・・

御剣。その場所をゆっくり押したり、指の腹でこすったりしてみて・・・どんな感じか僕に教えてよ。

あぁ・・なんだかその・・体の芯からうずくというのか・・その不思議な・・
今まで感じた事のない感覚・・・が襲ってく・・・る・・や・・やだぁ・・
なにか・・なに・・かく・・る・・い・・・・いやぁ・・だめ・・だめぇぇ!!

もしもし?御剣?御剣??みつる(プープープープー)

――御剣の利き手中指は自分のアナルに呑み込まれたまま、左手に持っていた携帯電話は
今はオリーブオイルにとってかわり夢中になって垂らし続けている。
何度も何度も快感が襲い、御剣はひたすらアナルに入れた指をこすり続けるのであった。


結:逆転のテレホンライン

プルルルル・・・   プルルルル・・・

・・・はぁはぁ・・はぁ・・・・御剣だが。

御剣・・・一時間も何やってるの?

す・・すまない。しかしオナニーとはすごいな。
私の知ってたオナニーは1回快感を得ると脱力感に襲われ続けることができなかったが
本当のオナニーは何度でもできるように射精もしないのだな!!
これからは正式なオナニーをするよう心がけるとしよう。ありがとう、成歩堂。

・・・・・・御剣。もっとさ、もっと気持ちよくなりたいと思わない?

これ以上気持ちよくなる方法があるのか?成歩堂。

あるよ。でもさ、こればっかりはひとりじゃ出来ない行為なんだ。
ふたりいて初めて出来る最高に気持ちいい行為なんだ。どう?試してみたいと思わない?

う・・ム。しかし成歩堂。もう日も落ちたし、今日はもう遅い・・・。

御剣・・・そのままでいいからさ、玄関ののぞき穴。見てくれるかな?

・・・・・(このとんがり頭は)・・成歩堂!!!

そうだよ。僕も気持ち良くなりたくてさ。ふたりで試してみようよ・・・ね?

――御剣が勢いよく玄関の扉を開ける。


うおおおおぉぉう!!!なんや兄ちゃん!!!!フルチンやないかい!!!
そんな恰好でよう玄関開けれるなぁ・・・無防備にもほどがあるで。

キ・・・キサマ、何者だ!?成歩堂・・成歩堂はどこだ!!!

あ?あのとんがり頭の兄ちゃんの事か?兄ちゃん・・・・なんも聞いとらんのか?

――携帯越しに成歩堂の声が聞こえる。

あー御剣?ごめんごめん。
さっき御剣からの通話が切れた時、マヨイちゃん達から夕飯いっしょに行こう!て連絡あってさ。
持ち合わせなかったからカリヨーゼにお金借りに行ってたんだ。
で、試しに御剣の写真見せたら返済しなくていいって言われてさ。
ついでに今月の事務所の家賃も・・・・ありがとう、御剣。

・・・キサマ、わたしと一緒にオナニーをしていたのではないのか?

何言ってるの?オナニーはひとりでコッソリするものだよ。
この後御剣がどうなるのか僕には分からないけど、今回の件ばかりはさすがの僕も逆転無罪は無理かなぁ・・。
君からドアを開けて相手を誘い入れてるし、状況証拠も不利なものばかりみたいだし。
まあ、せいぜいがんばってよ。“痛いのは最初だけ”っていうしさ。

な・・・なるほどう!!!なるほどう!!なる(プープープープー)

――背後で扉が閉まる。御剣の震える肩に日焼けした大きな手が重くのしかかる。

こんなベッピンさんな兄ちゃん見て自分もうチンコビンビンやで!!
大丈夫や・・・痛いのは最初だけや。・・・・・・ほな、ふたりで楽しみましょか?

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